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習う人の真摯な態度は、教える人を本気にさせる

お稽古などで舞を伝承していく上で、どのような部分に気を遣われていますか?


私は舞が好きで、65年以上ずっと続けてきました。
本気で必死に追及するから、おもしろく、楽しく、心も豊かになれるように思います。
習う人の真摯な態度は教える人を本気にさせます。
その逆もあると思うので、私は舞のお稽古は本気でしなければいけないと思っています。舞に関して長年かかって取得したものをすべて習ってくださる方に伝えて、死んでいければ本望です。
ただ、実際には習ってくださる方の年令、環境、キャリア、舞にかける時間、習う目的など様々です。
最終目的は私が本物と考えている舞の伝承ですが、まず「舞は楽しい。舞をやってみよう」と思ってしていただけるよう努力しています。
昔の芸事の師匠は大変厳しい方が多く、稽古中に、叩く、泣かす、暴言でプライドを傷つける、意地悪をするなど珍しくありませんでした。メモを取ったり、質問をすると生意気で失礼だと叱られたものです。
でも今では学校教育と同じで、師匠の方が礼儀正しく気を遣われている方が多いです。
私は稽古中は感情的にならず、教える内容を正しく、習う人の能力に応じて解りやすく、本当に理解して習得し、上達してほしいと思っています。初歩の方にはできるだけ細かく技術を習得してもらい、 上達するに従って自分で工夫し、正確な技術の上に心を表現できるように後押ししていきたいと思います。

姿勢と立居振る舞いが美しく

では、山村流で舞を学ぶとどんなメリットがありますか? 単刀直入な質問ですみません(笑)


山村楽女 画像2

突然だと答えに困りますね(笑)
そうですね――舞のお稽古を始めると……。
一人で着物が着れるようになります。もちろん最初は手伝いますよ(笑)
それから、日本の昔からのしきたり、礼儀が自然に身に付きます。
姿勢と立居振る舞いが美しくなります。日本人の体型にあっていて、所作の美しさを学ぶということですね!
あとは――日本の歴史を学べて、友人もできます。 集中力を高められますからストレス解消になります。
独立心を養える。舞台に立てば一人になります。失敗もありますから、立ちなおる心の強さが生まれてきます。
まだありますよ(笑)
身体の全部を使うので健康に役立ちます。技術を習得するたびに達成感があります。
でも、スポーツのように他人との競争ではありません。
歌舞伎、能、邦楽などの古典芸能の知識が増して、鑑賞が楽しくなります。
家族や友人のお祝いの場、イベント、同窓会などで舞を発表できますし、本人が希望すれば、名取、師範試験を受けて、舞の師匠になることができます。

山村流の舞は子女のたしなみ

最後となりますが、これから山村流に入門をお考えの方や山村流のファンの皆様へメッセージをお願いいたします。


山村流は200年以上関西を中心に継承されてきた由諸ある上方舞の流儀です。谷崎潤一郎の「細雪」にも出てくるように、山村流の舞を習うことは大阪の良家の子女のたしなみだったそうです。
山村流の御家芸は地唄舞と言われていますが、山村流の流祖初代友五郎は江戸時代の歌舞伎役者で振付師でもありましたから、当時の上方歌舞伎舞踊も伝承されています。現在では関東で生まれた長唄や 清元の踊りの曲も数多く振り付けられ、お稽古し発表しています。「藤娘」、「汐汲」、「越後獅子」など皆が知っている舞踊曲は、ほとんど全部あります。
現在六世宗家三代目山村友五郎師が、家元として私たちに代々伝えられた舞と新しく振付けられり、創作された作品を教えてくださっています。
同時に多くの舞台に出演され、上方歌舞伎、文楽、宝塚歌劇の振付など、精力的に活動され、芸術院賞はじめ様々な大きな賞を受賞されています。
今日本で最も活躍する舞踊家の一人です。
平成20年に親師匠の山村楽正師が亡くなられた後、私は三代目山村友五郎師に師事し、お稽古に通っています。私の門人も本人が希望すれば、家元にお稽古をして頂くことができます。
日本舞踊を知らない方も、踊りをしっかりされてこられた方も一度山村流の舞をなさってみてください。
一見、単純で退屈そうですが、200年の間数多くが人が追求し、洗練させてきた舞は奥が深く、広く、やればやるほど味わい深く、おもしろいです。
山村楽女舞の会は、「初舞」、「浴衣会」、「清秋のおさらい会」、「楽女舞の会」など、自分の着物で舞うお座敷の会、能楽堂での会、大きな舞台で衣裳、かつらをつけて舞う本格的な会など、様々な会を催しています。どの会も参加は自由です。
その他に「舞扇会(大阪の文楽劇場)」、「三重県邦舞会」、「新春舞初め会(名古屋)」、「日本舞踊まつり(四日市)」などの会にも、希望すれば出演できます。但し資格が必要な場合もあります。
実際に今まで多くの門人が上記の会に出演しています。
舞台や人前で発表することは稽古も熱心になりますし、観客の反応が実感できて大きな励みとなっているようです。
舞うことで日常生活にはない舞台で脚光を浴びる機会は特別な経験となりますから、ぜひ入門して山村流の素晴らしさを体験していただきたいですね。

本日はお稽古のお時間を割いて頂きましてありがとうございました。


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